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活動と政策

2018.6.19 (火)

「人命脅かす事態」―ドクターヘリ 搬送17分遅れ

 伊根町で5月に起きた交通事故で、ドクターヘリで負傷者を搬送するため、宮津与謝消防組合消防本部(宮津市)が米軍レーダー基地(京丹後市)にレーダー停波を要請しましたが、米軍が停波しなかったため、搬送に17分の遅れが出ていたことが1日、分かりました。防衛省・近畿中部防衛局が同日、発表したもの。住民からは「基地の存在が命を脅かすような重大問題だ」と怒りの声が上がっています。

DSC_1108 同消防本部によると、事故は5月15日午前8時頃に発生。負傷した70代男性を公立豊岡病院(兵庫県豊岡市)にドクターヘリで搬送するため、取り決めに従い同8時52分に米軍に停波を要請しました。米軍側は、いったんは要請に「応じる」としたものの、同9時4分に「停波できない」と連絡してきたといいます。このため、着陸地を事故現場に最寄りの経ヶ岬駐車場から西に約4㌔離れた航空自衛隊・経ヶ岬分屯基地のヘリポートに変更。その結果、搬送に遅れが生じたといいます。負傷者の容体には影響なかったとしています。
 米軍基地の上空は、レーダー照射による航空機の計器への影響を避けるため、2014年11月から海側に半径6㌔、高度約6㌔の範囲内が飛行制限区域に設定されています。経ヶ岬駐車場は同区域内にあります。
 このため、同年10月23日、区域内における緊急時のドクターヘリ運航に支障がないよう、米軍側に停波要請を行えば、停波することを防衛省、府、消防などが米軍と合意しています。
 同防衛局は、「言葉の問題があって、消防と米軍の意思疎通がうまくいかなかった。再発防止へ向け、消防、米軍の記録を突き合わせて検証していく」と説明しています。
 府によると、この事案について5月25日に同防衛局から情報提供を受けていたといいます。また、1日の発表を受け、西脇隆俊知事は同日、小野寺防衛相に対し、抗議し、再発防止を申し入れました。

府、京丹後市に共産党申し入れ

DSC_7930 日本共産党京丹後市議団(田中邦生団長、4人)は4日、三崎政直市長に対し、米軍に抗議し、原因究明と再発防止を防衛省に求めるよう申し入れました。同党府議団(前窪義由紀団長、13人)は5日、知事に対し、厳重に抗議をし、原因究明を要求した上で、事態の原因である基地撤去を求めました。同党の倉林明子、井上哲士両参院議員も同日、防衛省に対し、国会内で抗議しました。
 同防衛局によると、これまで地元消防などが停波要請した事案は計13回で、15年1月と3月にも停波されないケースがありましたが、「停波手続きの運用開始から間もなかったため、公表しなかった」としています。
 米軍基地周辺の住民でつくる「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」の三野みつる代表は、「一歩間違えれば、まさに基地が住民の命を脅かす事案だ。この間、基地の休日工事など米軍は約束違反を繰り返しており、今回の人命がかかった事態でも約束を守らなかった。住民の命を守るには基地撤去しかない」と話しています。


(「京都民報」2018年6月10日付より)
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