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「提言」京都懇談会での志位和夫委員長の報告(2)

 7日、京都市東山区のホテルで開催された「社会保障と経済・財政の立て直し」懇談会での志位和夫委員長の報告(大要)を紹介します。

                         ◇

日本共産党の「提言」の考え方の基本点について

 政府がすすもうとしている道は先がない。ですから考え方を変える必要があります。政治の姿勢を大本から変える必要があります。そういう立場で、根本的な別の選択肢としてこの「提言」を作成いたしました。
 つぎに、日本共産党の「提言」について説明していきたいと思います。この「提言」の細目については、ぜひ「提言」そのものをお読みいただきたいと思います。私は、この「提言」を作成するにあたって、私たちが設計思想といいますか、基本的な考え方に据えたことについて、大まかに言って4点ほどお話をさせていただきたいと思います。


「社会保障の段階的充実」と「民主的経済改革」を同時並行で

 第一は、この「提言」が、「社会保障の段階的充実」と「国民の所得を増やす民主的経済改革」を、「2つの柱」にして、同時並行ですすめるという立場に立っている。この同時並行論が、この「提言」の一番の眼目の部分でございます。
 さきほどのべたように日本経済は、長期にわたる停滞、後退の状況におちいっております。この現状をそのままにして、その枠のなかでいくら歳出、歳入の回復をやっても絶対に展望が開かれてまいりません。「国民の所得を増やす民主的経済改革」を同時並行ですすめてこそ展望が開かれてまいります。

 すなわち労働、中小企業、農林水産業、エネルギーなどの各分野で、国民の暮らしと権利を守るルールをつくり、国民の所得を増やす改革を実行していく。
 労働の分野でいいますと、非正規雇用労働者が36%に達しています。こういう不安定、「使い捨て」の労働をなくして正社員にする。最低賃金を大幅に引き上げ、中小企業には賃金助成をやりながら、賃金の底上げをはかる。各分野で、国民の所得を増やす経済改革を実行します。
 この改革をすすめることで、大企業に蓄積された260兆円の内部留保が、社会に還流されるようになります。そして経済を内需主導の健全な成長の軌道にのせてまいります。経済全体のパイが大きくなってくる。そのことで税収が増えてきます。そして社会保障をよくする本当の意味での安定財源をつくるとともに、財政危機打開の道を開こうというのが私たちの考えです。
 「国民の所得を増やす民主的経済改革」と同時に、第1の柱である「社会保障の段階的充実」をすすめます。社会保障をよくするということは、2つの面で経済にもプラスに働きます。

 一つは、国民の暮らしを支え、将来不安を軽減し、消費マインドをよくします。社会保障の安心が得られれば、「お金を使ってみようか」ということになります。
 いま一つ、福祉を充実することは、地域の仕事と雇用を増やすことにつながるということです。地域経済をあたためることになります。
 こうして、2重に経済効果がある。
 「社会保障の段階的充実」と「国民の所得を増やす経済改革」――この両方をすすめることが、相乗作用となって、社会保障、経済、財政の3つの分野で一体的に問題が解決する方向にすすむだろう。循環でいいますと、経済を良くする、このことで財政を良くする、社会保障を良くする財源をつくる、そうすると経済もよくなる――この好循環をつくっていきたい。いまは、ここが悪循環になっている。それを好循環に変えていこうというのが、提言の一番の眼目の部分でございます。


財政危機の歴史的な原因をふまえた提案
 
 これは財政危機の歴史的な原因をふまえた提案ともなっております。
どうして日本の財政がここまで悪化したか。
 1990年代までは、財政危機の最大の原因は、巨大公共投資をはじめとした歳出面の無駄使いにありました。アメリカから押し付けられた10年間で430兆円、のちに630兆円になりましたが――「公共投資基本計画」というのがありました。これがテコになって、日本中に無駄なダム、無駄な港湾、無駄な空港などが、どんどんつくられ、これが財政危機の主役になったのが90年代でした。

 2000年代にはいりますと、さすがに無駄な公共事業のばら撒きは続けられなくなり、総額は縮小するのですが、代わりに財政危機の主役になったのは、先ほどのべた税収の空洞化でありました。その原因は、大企業と大金持ちへの減税のばらまきとともに、経済そのものが長期の停滞、後退に陥ったところにありました。
 ですから日本経済の停滞、後退を打開して、内需主導の健全な成長の軌道にのせるということは、財政危機を打開するうえでも2重の効果が働いてまいります。
 第1は、経済成長によって税収そのものが増えてきます。あとで具体的な数字は話したいと思います。
 第2は、対GDP比の長期債務残高が減少にむかう展望が開かれてまいります。欧米諸国も、政府の長期債務残高を見ますと結構ふやしているんですよ。日本より増やしているところも少なくありません。ただ、どこでも経済成長はしていますから、GDP比の長期債務残高の比率をみますとのびが小さいんです。日本は、この20年間ほど、GDPがまったく伸びていないでしょう。借金だけが伸びている。ですから、借金ののびが、GDP比での長期債務残高の悪化に直結してしまうわけです。日本経済を内需主導の安定的な成長の軌道にのせるならば、対GDP比での長期債務残高を減少に向かわせる展望を開くことになります。

 こういう2重の意味で、財政危機打開の道を開くことになるということを強調しておきたいと思います。
 私たちの試算を紹介しますと、「提言」が提案している社会保障、税財政、経済の民主的改革をおこなうことで、2040年ごろまでの平均の名目成長率は、年2・4%程度が可能だと見込んでおります。賃金ものび、物価もあがってきますから、実質ベースでいいますと年間1%強の成長が可能となってきます。そうしますと2030年ごろまでには基礎的財政収支が黒字化し、対GDP比の長期債務残高も減少にむかうというのが、私たちの展望です。18年ぐらいかかりますけれども、借金財政からの脱出の道がひらかれる。もうちょっと早くやれないものかということも検討しましたが、財政赤字からの脱却を無理してすすめると、経済を壊して元も子もなくなるということになります。一定時間はかかりますが、18年ぐらい後には、打開に道がひらかれるというのが、私たちの見通しだということもご報告しておきたいと思います。


社会保障――段階的拡充のアプローチ

 第二は、社会保障を拡充するうえで、私たちは今回の「提言」で段階的アプローチという提案を行っているということです。つまり財源を段階的に確保しながら、段階的に社会保障を良くしていくという2段階での提案をしております。これは、今回の「提言」の新しい提案の仕方となっています。
 第1段階では、「社会保障再生計画」と銘打っておりますけれども、小泉内閣以来のいわゆる「構造改革」路線で社会保障があらゆる分野で壊された。これを「再生」させよう。同時に、急を要する一連の改革の課題でもとりくんでいこう。この第1段階の財源は、まず無駄遣いを一掃と、富裕層・大企業への応分の負担でまかなってまいります。

 だいたい2010年代の末ぐらいまでに、第1段階の「再生計画」を達成して、第2段階の「先進水準の社会保障」の実現にすすんでいきたい。ここではヨーロッパの多くの国であたりまえになっている水準へと日本の社会保障の水準を抜本的に高める計画を実行していきます。そのための財源は、累進課税を強化する所得税の税制改正でまかなっていきたいというのが私たちの提案です。
 たとえば年金をどうするか。いまの年金の一番の問題といいましたら、自公政権時代の年金大改悪によって、支給水準がどんどん減っていく。無年金、低年金の方がたくさんいらっしゃる。これらの問題を解決することが焦眉の問題です。第1段階では、年金が減ってゆくようなしくみは撤廃して、「減らない年金」、将来的に安心できる年金にしていく改革をおこないます。それから受給資格期間というのがいまの年金にはあります。25年間保険料を払わないと一円ももらえない。こんな国は世界にありません。これを10年に短縮して、それと同時に、すべての受給者の方に満額支給の場合と同じように月3万3000円の国庫負担を支出して低年金の底上げをはかる。

 第2段階では、最低保障年金制度の確立に本格的に踏み出すという提案をしております。最低保障額は月5万円をスタートにしてだんだん上げていきます。そのうえに保険料に応じた額を上乗せし、無年金、低年金の問題の抜本的に解消をはかる道を開いていくのが、第2段階です。
 医療をどうするか。医療についていいますと、相次ぐ窓口負担の引き上げで、お金の心配でお医者さんにいけない、受診抑制が極めて深刻です。第1段階で、「提言」が提案しているのは、まず、医療費の窓口負担を国の責任で「子どもは無料、現役世代は2割、高齢世代が1割」というところに下げよう。最初から全部無料にといいたいところですが、他にも急を要する問題があります。国民健康保険料が高すぎて払えないことも大問題です。高すぎる国保料について、国の責任で一人一万円の引き下げをおこなう。

 そして、第2段階で、多くの欧州の主要国で行われているように、医療費の窓口負担は無料にする。たとえば、イギリスにいきますと、私たちの「しんぶん赤旗」の特派員が病院にいきますと、「会計窓口」があるにはあるのですが、医療費を払う窓口ではありません。病院の側が患者さんに交通費を払う窓口となっている。それぐらい徹底して窓口負担はなしとなっている。これがヨーロッパでは当たり前ですから、第2段階ではそこまで進みたいと考えています。


なぜ段階的アプローチか――2つの理由

 なぜこの段階的充実の提案をおこなったか。
 理由が2つございます。
 1つは、小泉内閣以来の「構造改革」路線による社会保障の破壊というのはあまりにひどくて、その傷跡は、医療、年金、介護、障害者福祉、生活保護、あらゆる分野に及んでおります。この傷跡を治す、再生させるという仕事自体が一大事業になっています。そこから第1段階でまず「再生」を、第2段階で「抜本的拡充」をという段階的なアプローチが必要になってきます。

 いま1つの理由は、財源を考えても、段階的なアプローチがどうしても必要になってきます。第1段階の改革を実行するために私たちが財源として考えているのは、無駄使いの一掃と富裕層と大企業に応分の負担を求めるという税制改革です。これは今すぐでも着手できることです。ただ第2段階の改革を実行するために私たちが財源として考えているのは、所得税の累進課税の強化です。これは一定の国民のみなさんに新しい負担をお願いするということになってきますから、すぐには実行できません。

 すなわち、「提言」が2つ目の柱に位置づけている「民主的経済改革」を実行にうつすことによって、国民の賃金・所得が着実に増え続けるという状況になってはじめて、所得税の改革ができる。それには一定の時間がかかります。
 こういう理由から、段階的なアプローチということを考えました。この方策は、社会保障の現状にてらしても、財源を考えても、最も合理的かつ無理のない提案だということを、強調したいと思います。


税金は「応能負担」――「負担能力に応じた負担」を原則に

 第三に、「提言」では財源の考え方を180度変えております。政府の考え方は財源といえば消費税、それしか頭にうかばない。この路線でいきますと、10%ではたりません。たらなくなったらまた消費税、15%にしましょう、20%にしましょう。際限がありません。この考え方を、根本から変える必要があります。
 税金というのは「負担能力に応じた負担」――「応能負担」を原則にする。大企業や富裕層優遇の税制を切り替えて、民主的税制の根本原則である「応能負担」にたった税制改革を行う。この考え方を徹底して貫きます。
 第1段階では、無駄使いの一掃とともに、富裕層と大企業に応分の負担をもとめる一連の税制改革を具体的に提案しております。
 無駄使いの一掃ということでは、米軍への「思いやり」予算をはじめ軍事費にメスを入れる、八ツ場ダムなど無駄な巨大開発を見直す、原発推進予算に抜本的メスを入れる、さらに、320億円の政党助成金はなくす。こういう民主党政権が「聖域」としている分野にメスを入れていきます。

 そして、増税というなら、まず負担能力をもっている大金持ちと大企業に応分の負担をというのが私たちの考えです。
 この点では、「提言」では、誰が考えても文句のつけようのない無理のない提案となるように心がけました。たとえば「提言」では富裕層への課税について、一連の提案をしておりますが、どれも無理のない当たり前の提案です。
 パンフレットの38ページのグラフをご覧ください。これは申告所得階級別の所得税の負担率を示したものです。驚くことに、所得1億円をピークに負担率が下がってしまっています。なぜ下がるかと言いますと、三つ原因がありまして、所得税の最高税率が大幅にこの間引き下げられました。二つ目に、証券取引や土地取引の所得が分離課税とされて税率が低くなっている。三つ目に、とりわけ証券優遇税制と申しまして、株の取引や配当にかかる税金がたった10%、こういう世界でも日本だけという大株主優遇の税制が続いてきた。こういうことで下がってしまっている。

 このグラフを政府に突きつけますと、さすがに政府も「これは結構なグラフです」とは言えないんです。誰が見たって、大金持ちの負担率が下がるというのはおかしいことです。この証券優遇税制はやめなさいといいますと、首相も、「2年後にはよほどの事がない限りなくします」と答弁する。2年後になくすというのだったら、すぐになくすべきです。すぐになくすとはいわないところが問題なのですが、しかし、結構なことだとはいえないわけであります。
 先日、わが党の笠井議員が、日本共産党が提案している富裕税について、首相にどう考えるかを聞きました。私たちが提案している富裕税というのは、どのぐらいの層にかかるかというと、相続税対象額で5億を超える資産に対して課税する。課税対象は、0・1%程度の文字通りの大資産家ということになります。欧米でも富裕税は導入が当たり前の流れとなっています。首相も答弁で否定できずに、「所得再分配の機能を見直すという方向でこれから議論してまいります」といった。「やる」とは言わないですよ。しかし否定はできなかった。ここが大事なところです。富裕層に――「富裕層」と言っても本当の「富裕層」ですが――、応分の負担を求めるということは、当然のことだということが、国会質問でも明らかになってまいりました。

 もう一つ、大企業への課税ですが、私たちが主張しているのは、これ以上の減税はやめるべきだということなのです。政府は、さらにいま5%の法人税減税をやろうとしてます。これはやめなさいということです。それと大企業への優遇税制――研究開発減税とか、連結納税制度など、いろいろな優遇減税制度があって、課税のベースが狭くなっている。これを取り払って課税ベースを広げて、ちゃんと税金を普通に払ってもらう。不公正税制をなくしなさいという要求になっております。これ以上法人税率をどんと引き上げろという要求ではないのです。下げるなという要求であり、不公平な優遇をなくせという要求なのです。ですからこれもなかなか否定することは難しいのです。

 私は、先日の予算委員会での質疑で野田首相にこう聞きました。「首相は本会議の答弁で、『法人税減税を行えば、雇用や国内投資の拡大につながる』と答えたが、どうして雇用や国内投資につながるのか、説明してください」。こう聞いたところ、首相はどうしてつながるか答えられないんです。最後に何と言ったかというと、「私は、投資や雇用につなげていくことを期待しております」。「期待」では困るんです。どうしてつながるか聞いたが答えられない。

 パンフレットの40ページの表をご覧ください。これは経済産業省が行った6千社を対象とする調査結果です。企業が投資先を決める際に重視するものは何かという調査です。表にあるようにトップはダントツ「需要」です。「税金」と答えているのはごくわずかです。 企業が海外に投資する際に、何よりも「需要」を求めて海外に投資するわけです。どうして国内投資が起こらないかというと、国内の需要が冷え切っているからです。だから投資が起こらないんです。その時に消費税大増税をやったらどうなるか。ただでさえ落ち込んでいる内需をさらに落ち込ませ、国内投資がさらに減ることになります。産業空洞化をすすめ、雇用を減らし、それが一層の内需の落ち込みを招く悪循環の引き金を引くのが、消費税の大増税ではないでしょうか。それと一体に大企業に減税をばらまいたところで、雇用にも投資の拡大にもつながりません。「法人税を下げないと海外に逃げちゃうぞ」とよく巨大企業の社長さんたちはいいますが、これは道理のない脅しだということを、強調したいと思います。

 負担能力という点では、大企業ほど大きな力を持っているところはありません。多くの巨大輸出大企業は、この間、「内需を犠牲にして外需で稼ぐ」というやり方を取ってきました。つまりリストラで労働者を絞り、中小企業を絞って、コストをカットして、外需で稼ぐ。こうやってきました。コスト削減で労働者や中小企業から吸い上げたお金が、260兆円の内部留保に積まれているわけです。それともう一つ、あいつぐ大企業減税で国民のみなさんから吸い上げたお金も積まれているわけです。これ以上、大企業への減税をやっても内部留保に積まれるだけで、けっして生きた産業のためには使われません。私たちが提案している大企業への応分の負担というのは、働く人や中小企業や国民から吸い上げたお金を、元の持ち主に返しなさいというしごく当然なものだということを、強調したいと思います。(続く)

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