文字サイズ

JCP KYOTO EYEs ~チャンネル「情勢・論点」

2025.5.28 (水)

「消費税は社会保障の財源」か?/「日経」世論調査を斬る

「消費税は社会保障の財源」か?/「日経」世論調査を斬る

 日経新聞26日付に掲載された世論調査には驚きました。
 「単に減税の是非を聞くのではなく、財源との関係を明示して質問した」という設問は二択でした。「社会保障の財源を確保するために税率を維持するべき」が55%、「赤字国債を発行してでも税率を下げるべきだ」が38%だったというのです。
 「ちょっと待て」と言いたい。「大企業と富裕層に応分の負担を求めて税率を下げる」という設問が抜けているではありませんか!
   1989年、消費税は財界肝いりで「直間比率の是正」、つまり国の税収を法人税や所得税などを柱とする直接税中心から、消費税を柱とする間接税中心に転換する目的で導入されました。「消費税の収入は年金、医療、介護の社会保障給付と少子化施策の経費に充てる」との法の規定は、2012年の法改悪で後付けされたものです。消費税は使途を特定する「目的税」ではなく、何にでも使える「普通税」です。このことは政府も認めています。
 実際、消費税法制定の当初の狙い通り、消費税収の増大に伴って法人税収が減少してきました。資本金規模別の法人税の現在の実質負担率は、小規模企業は18.5%、中堅企業は20.6%なのに対して、大企業は10%にしかなりません。大企業は、安倍→菅→岸田→石破と続いた自公連立政権の11年間で、利益を29.2兆円から77.1兆円へと2.6倍化した一方、国の法人税収は9.4兆円から15.2兆円へ1.6倍にしか増えていません。その結果、同じ期間に大企業の内部留保は333兆円から539兆円に膨れ上がりました。
 「消費税は社会保障の財源」という宣伝は、税金を払う能力を強めている大企業に負担を求めるという要求の正当性を覆い隠す役割を果たしています。同時に、主な財源を国債発行に求める主張も、同じ役割を果たすことになります。
 「消費税は社会保障のため」という意図的な宣伝を打ち破り、財源は担税力のあるところに求める税制改革でこそ・・これが、消費税論戦のカナメです。

                                                                 日本共産党京都府委員長 渡辺和俊

働く人が元気でこそ経済再生! 私たちの選択で学費は下げられる! 情勢と論点 タグ 過去記事

ページトップへ