『いじめ解決の政治学』を読んで

| コメント(0)

4月に行われ、このブログでも中身を紹介した、シンポジウム「『いじめ』『体罰』のない学校と社会を」の際に、パネリストをされた日本共産党文教委員会責任者の藤森毅さんの新刊著書『いじめ解決の政治学』を読みました。

 

大津市立中学校の男子生徒いじめ自殺事件をきっかけとして社会が動き出し、日本共産党にも「いじめ問題対策チーム」をつくられ、その一員として全国で聴き取りをした著者。「いったい解決の展望はあるのか」と思うほど酷い実態を聴き取り、悩んだあげく、逆転の発想で「辛くも子どもの命を救うことに成功した様々な実践が全国で積みかねられている。社会的には埋もれているその実践に光をあて、教訓をくみとり、『この方向で努力すれば命を救える』という現実的なものを打ち出そう」とチームで話し合い、かたちとなった「『いじめ』のない学校と社会を-日本共産党の提案-」その政策に関わる中で、著者が心を強く動かされたことが書かれています。

 

全国の子ども、先生、保護者から直接生の声を聴き取りしてきた人だからこそ、また学校を取り巻く社会や政治を子どもの立場でしっかり認識している人だからこそ、書ける内容や指摘に「うんうん」「なるほど」と何度もうなずいて読みました。

 

詳しい中身はぜひ読んでいただきたいのですが、この書には、いじめを受ける子の苦しみ、その親の苦しみ、いじめを解決しようとする先生たちの姿、それらと同時に、いじめをしている子の苦しみも、人間的な立ち直りの問題も随所に出てきます。また、いじめに対応しきれていない学校や先生たちの現実と現状をどうとらえ、いじめ解決へとつなげていくのか、そのことへの問題提起や提案もあります。現政権の教育政策と照らし合わせながら、教育というものの本来のあり方、子どもも、先生も、親も、「子どもとして」「先生として」「親として」の内発的な成長を保障されるべき問題、地域や専門家との連携や、対話、共同の中でいじめを解決していくことなど、多彩な角度からの中身があります。その中で、一貫して「子ども」「先生」それぞれの姿が、過小でも過大でもなく、正当に評価され、そのそれぞれの力をいかに引き出すのかという立ち場に立ちきった著者の姿勢にたくさんの気づきをもらいます。その著者の姿勢から生まれた提案や指摘は、深刻な実態をかかえる「学校」という場を、しっかり照らしてくれる光の一つのように感じました。

 

ぜひ多くの方に読んでいただき、「いじめ」のない学校、社会をどう実現するのか、ともに考えていければと思います。

 

また、シンポジウム「『いじめ』『体罰』のない学校と社会へ」の第2回目が、10月14日(月・祝日)午後1時半~4時 ハートピア京都・大会議室にて行われます。1回目に続き、著者の藤森さんも参加され、この著書に基づいたお話もされるそうです。

 

こちらもぜひご参加ください。(C)

コメントする

アーカイブ