人間の挫折と孤独を見つめた私小説的な作品で戦後社会を多面的に描き出した作家の安岡章太郎(やすおかしょうたろう)さんが、1月26日亡くなられました。92歳でした。
軍人の悲哀を描き全体主義を批判した「遁走(とんそう)」。高齢者問題を正面からとらえた「海辺の光景」。自らの家系をさかのぼる「流離譚(りゅうりたん)」。数多くの名作やエッセーでの文明批評。戦後を代表する作家のおひとりでした。
安岡さんは、2000年京都市長選挙で、民主市政の会の候補者、井上吉郎さんを推した故水上勉さんのアピールに賛同のことばを寄せています。
まずは、水上さんのアピールから。「京都を日本の顔と思い、こころとも思ってきた私には、京都がビルに様変わりするのは悲しい思いです。このことは政治の力で何とか喰いとめられるものは、喰いとめてもらうしか私たち無力な京都ファンには力がありません。それで、井上吉郎さんを推すことで、非力な私がえらんだ道なのです。私は日本共産党員でもありません。しかし、この政党が掲げている"古都を守ろうとする意見"にはすべて同感であります。まちがいありますまい。私は井上吉郎さんを押します。」
それにたいする安岡章太郎さんのこたえ。「京都は大切にしてください。右を見て左を見て...。情けない話です。」
古都京都は、そこに住む市民の暮らしが息づいてこそ、守られる。伝統産業や地場産業。中小企業。商店街。農林漁業...。京都市と深くつながる府民の暮らし・生業の活気、京都観光を楽しみにしてくださる全国のみなさんの暮らしにも結びついています。
「古都京都を守れ」。鬼籍に入られたお二人の珠玉のような激励の言葉に奮い立ちます。(TH)












