JCP京都

2006年12月01日掲載

北野の「お別れ地蔵」

 北野天満宮の鳥居前…今出川通りの南側舗道を少し西へ行った所に、大小2つのお堂が並んでいる。その中に「お別れ地蔵」という名の地蔵があると聞いてさっそく訪ねてみた。堂の前に掲げられている掲示板には、この仏像の由来がくわしく書かれている。

 そのことより私が関心をもつのは、「お別れ地蔵」という呼び名のゆえんである。この地蔵を近所の人たちが「お別れ地蔵」と呼ぶのは、この地域ではむかし葬式がこの堂前を通りすぎるとき、地蔵尊に向かって今生の別れを告げ、極楽浄土に生まれ変わることを願ったからだと伝えられている。以前は北野の北西・金閣寺の裏山にも蓮華谷火葬場があり、葬列はここを通ることが多かったという。今では蓮華谷火葬場もなくなり、葬列がこの北野を通ることはなくなってしまった。

 お堂は外からしか見ることができなかった。あとから調べてみると、写真の地蔵はどうも地蔵菩薩象の前に立つ阿弥陀如来像だと思われる。残念ながら「お別れ地蔵」にはお目にかかれなかったようだ。また調べてチャンスがあれば「お別れ地蔵」を追加掲載したい。(司)