JCP京都

2006年05月30日掲載

北白川の「太閤地蔵」

市バス北白川停留所の北東にある、高さ2メートルをこえる大きなお地蔵さん。町かどや道ばたにあるお地蔵さんの中では、僕の知る限り代表格の一つである。近所の人からは「子安観音」とともに、「太閤地蔵」という名前でも呼ばれている。

 子安観世音は行ってみればわかる。立て札にその説明があり、「古来子安観世音として町の人々の信仰があつく、今も白川女は必ずここに花を供えて商いに出る」と書かれている。「子安観音・御詠歌」には、“みちばたの 川にはさまれ 東むき”と記されている。この地蔵さんの祠のとなりには、小さな子ども地蔵がたくさん奉られている。

 太閤地蔵のいわれは面白い。この石地蔵は一人で動き出す希代の霊仏といわれていた。これを聞いた太閤秀吉が自分の屋敷(聚楽第)に移したが、毎夜「白川に帰りたい」と鳴動するので元に戻したといわれている。それ以来地元では「太閤さんに勝った」地蔵さんとして「太閤地蔵」と呼ばれ信仰も厚い。(司)