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2014総選挙

不破哲三前議長の街頭演説(大要)

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比例の躍進、京都1区こくた勝利で
日本の夜明けは京都から

不破哲三前議長の演説大要 12月10日・京都市四条河原町

■京都は日本を動かす輝かしい歴史を刻んできた

 みなさんこんばんは、日本共産党の不破哲三でございます。
 四条河原でみなさんにお目にかかるのは、9年ぶりでありますが、京都の奮闘ぶり、激戦ぶりを聞きますと、矢も盾もたまらずかけつけてまいりました。どうかよろしくお願いします。
 京都は日本文化の豊かな歴史をもつ街であります。同時に、政治の舞台でも、日本を動かす革新・民主の大きなうねりが起こるたびに、その先頭に立つという、輝かしい歴史を刻んできた街であります。
 私がはじめて京都の選挙に参加したのは、1970年の蜷川(虎三)さんの(京都府知事)選挙のときでした。そのときこういうことがありました。はじめて出た国会で、佐藤栄作首相と論戦をしたあとでしたが、予算が通ったあと、それまでは共産党の控え室へこなかった佐藤首相がやってきまして、私の顔をみるなり、「不破さん、今度は京都で会いましょう」、こういったわけです。自共の対決、しかもそして、京都がその決戦場になる。そのことを首相自身が、はっきり意識していることを、そのとき痛感しました。
 そのときには、自民党が初めて公明党と手を組んで、なんとしても蜷川さんを倒そうとやってきた。それに対して京都のみなさんは、みごとに打ち破りました。その当時、「日本の夜明けは京都から」、この合言葉が京都だけでなく、日本中にひろがったものであります。それは、蜷川革新府政を、アメリカの占領の時代から、20年間まもり、70年代もずっとまもってきた、そのことだけをさすものではありません。60年安保闘争の直後に総選挙があったとき、谷口善太郎さんが国会に再び当選します。それからまた68年の参議院選挙では、2人区の地方区で河田賢治さんが当選しました。日本全体を驚かした快挙でした。
 72年の選挙では、谷口さんと梅田勝さん、5人区で共産党議員が2人とおる。これは中選挙区時代が終わったときまで、京都にしかない大記録だったんです。そういう躍進がありましたから、あの京都の勢いを日本に広げよう、こういう気持ちで、「日本の夜明けは京都から」、この合言葉があの当時は、本当に日本中に広がりました。
 それからいろいろありました。しかしみなさん、新しいうねりが起こるたびに、その節々に京都は大きな役割を果たしました。96年の総選挙、初めて小選挙区制が導入されました。そしてまた比例代表では、衆議院選挙で初めて「共産党」という党名を書く──こういうことになりました。大方の予想では、「比例代表でも、いままで個人になら入れていたけど、共産党にはいれないだろう」、「共産党の票は減るだろう」、「小選挙区はとても無理だろう」、これがマスメディアでも大方の予想でした。
 しかしみなさん、あの時、前回の選挙の483万票から、日本共産党という名前を書く比例代表の票が、726万票にふくれあがりました。世界を驚かす大躍進でした。そしてその時に、小選挙区制に風穴を空けたのが、この京都の3区の寺前さんと、高知1区の山原さんでした。相手側の思惑はまったく外れたわけであります。その躍進の第二の波を2年後の参議院選挙まで引き継ぎました。
 そして、いま新しいうねりが起こり始めています。去年の参議院選挙で、定数2の京都選挙区で、倉林明子さんを当選させた。これは共産党の議席が参議院でうんと増えたことと同時に、日本全体を驚かせました。また、京都から躍進がはじまった。そういう機運が広がりました。
 みなさん、そして今回の総選挙であります。私たちが「自共対決」といいますと、「共産党の独りよがりじゃないか」、そう首をかしげる方もおられるでしょう。しかしみなさん、相手もそう思っているんですよ。志位委員長に聞きました。党首討論会で安倍首相と何回も議論をします。討論が終わってエレベーターで顔をあわしたり、控え室で顔をあわしたりすると、安倍首相が必ず志位さんに声をかけて言うっていうんです。「自共対決ですね」。相手もまったくそのつもりなんです。そういう選挙でみなさん、京都のこの伝統ある躍進の流れ、全国を揺るがすような躍進の流れを、大いに巻き起こそうじゃありませんか。

■自民党への一票は「日本版ネオナチ」への一票

 そして私が、ここで強調したいのが、「自共対決」といっても、相手の自民党は、昔の自民党ではないということです。今年の8月、ある大新聞社が出している「アエラ」という雑誌に、野中広務さんの3ページにわたる大きなインタビューが出ました。見出しは、「安倍さんは、東京裁判を否定したいんだ」。
 要するに、日本のあの戦争を、正義の戦争といいたいんだ。それがこのインタビューの大見出しでありました。そして、いろんな角度から、今の自民党はすっかり変わってきたということが、こもごも語られていました。なかでも、野中さんがこういいます。「だいたい、安倍さんは戦後レジームの否定、戦後レジームからの脱却というが、それは、自分の祖父、おじいさんである岸信介元首相がA級戦犯にされた東京裁判を否定したいということなんだ」。記者が、「それは戦後秩序の否定です。中国や韓国ばかりか、ヨーロッパやアメリカからも認められない」。そういいますと野中さんが、この道を進んだら、「世界中で日本という国の形がなくなってしまう。それほど危険な状態になっている」。そこまでいっているのをみて、私は驚きました。
 野中さんといいますと、この何十年の間、私は京都に来るたんびに、野中さんと直に論戦したことは無いんですけれども、だいたい論戦相手の自民党の陣営の中心には、野中広務さんがいる。いつもそう思って、京都の選挙に、駆けつけてきたものであります。
 しかし、その野中さんが、今の安倍政治は、昔の自民党とは違う。この道を行ったら、日本が壊れてしまうとまで明言されている。私は、特に京都の皆さんには、そのことを、深く考えていただきたいと思うのです。
 だいたい、「あの日本の戦争が正しかった」、こういう議論が、自民党の中で持ち上がったのは、あの歴史教科書問題以来でした。歴史を、子どもたちに、「日本の戦争は自存自衛」、「アジア解放の戦争だった」。そういう間違った考えをふきこもうという、教科書づくりが始まりました。そして、その教科書づくりの運動の先頭にたったのが、「教科書議連」という悪名高い、自民党の議員集団でした。その事務局長にだれがなったか。当選してまだ4年ばかりの安倍晋三氏が、その事務局長になったんですよ。
 その時代から、野中さんがいう、「A級戦犯を否定したい」、その怨念を持って、政治をやってきた流れがある。
そして今、第二次安倍内閣のもとで、その流れが、政府と自民党をのっとってしまったんです。
 だから今、野中さんのような自民党の古い幹部、古賀誠さんのような方、そういう方々が、自民党の中では居場所がなくなっている。
 安倍さんが任命した、女性幹部が、「ネオナチ」の団体と一緒に写真を撮ったと言って、問題になりました。「ネオナチ」というのは、ヨーロッパでは、すこし勢力が大きくなっても、民主政治の仲間入りは、絶対にさせられない。その枠外に居る、政治勢力です。「ネオナチ」とはなにか。ヒトラーがやった戦争を擁護するから「ネオナチ」なんです。
 じゃあ、安倍さんはどうでしょう。安倍さんの中では、日本がやった戦争を侵略戦争と認めないばかりか、「正義の戦争だ」、「自存自衛、アジア解放の戦争だ」、そういって頑張る、まさに「ネオナチ」と同じじゃありませんか。その勢力に、今、自民党はのっとられている。
 第二次安倍内閣の大臣の顔ぶれを見てください。全部そういう団体に、加盟している、ウルトラ右翼の議員ばっかりじゃありませんか。
 みなさん、私は、この選挙1区で立っている、伊吹さんというかたには、直接あまり話をしたことはないし、論戦をしたこともありません。しかし、その人が、どのような経歴をもっていようと、どのような考え方を、心に秘めていようと、今の自民党に属して、そこから立候補している限り、その方に投票する一票は、「ネオナチ勢力」に、「日本版ネオナチ」に、投ずる一票になる。
 このことをどうか投票日までによくよく考えて頂きたいんです。来年は、第2次世界大戦が終わって、70年の記念の年です。日本とドイツとイタリアが始めた侵略戦争を、世界の民主主義の力で打ち破った、そのことを祝う日です。
 その時に、あの戦争は正しかったといっている人間が、首相をやっている国が、いったい世界のどこにいるでしょう。日本にしかいないのであります。それが、野中さんがいう、このままでは日本という国の形がなくなってしまう。そう言ってることの、私は、深い意味だと思います。

■政治を腐らせる政党助成金制度。共産党の躍進でキッパリ廃止を

 ではみなさん、日本の現状で、どこにこの「日本版ネオナチ」の政治を倒す、正面から反対する力があるでしょうか。正直に言って、我が党以外の野党の現状は、惨憺たるものであります。
そして、私は、その状態も含めて、政治を腐らせている根源に、政党助成金という、とんでもない制度があることを痛感しています。
 国民一人あたり250円。赤ちゃんまで含めて、自分の政党支持とは関係なしに、250円ずつ集めて、総額320億円です。それが、この20年間、6316億円にもなりました。
 これができてから、何が起こったでしょう。もう政党をつくるときに、綱領も政策も問題にならないんです。このお金を、どうやって、手に入れるか、それだけが、政党づくりの本命になります。だからみなさん、沢山の政党が、この金目当てに生まれ、うまくいかなくなって、潰れました。政党助成金の制度が出来てから、いったいどれだけの政党が生まれたと思いますか? このあいだ数えてみたら、なんと41の新党がうまれていました。誰か、名前覚えていますか?
 そのなかで残っているのは、たった4つだけであります。あるときに、ある議員が、こういったということが、川柳になりました。「今ワシは何党かねと秘書に聞き」。
 もっとひどい事態がおこっているではありませんか、今日、維新の党という党の政見放送をたまたま宿舎で見ましたら、橋下さんと江田さんが、こもごも、「身を切る改革」、「消費税を増税したんだから、身を切る改革やらなきゃだめだ」、「それをやるのが維新の党だ」、と言っていました。
 しかし、みなさん、「身を切る改革」というのなら、この政党助成金というお金のムダづかい、政治を腐らしているお金のムダづかい、そこをバッサリ切るのが第一番にやることじゃないでしょうか。
 いま政党助成金を受け取っている一番大きな勢力は、自民党であります。年間320億円の半分近く、157億円もの助成金を手に入れています。13年分の報告では、党財政の65%が国民の税金。野党もそれには負けません。民主党は、党財政の83%が税金におんぶ、維新だって72%が税金におんぶなんです。その「身を切る」勇気がなくて、「身を切る」決意がなくて、なんで本当の改革が言えるでしょうか。
 日本共産党は、この制度ができた最初のときから、国民の意思を無視して金を集めるこの制度、これは絶対に間違っている──こう主張して、この制度に反対し、この20年間ただの1円も受けとらないできました。政党助成金で政治を運営する。こんなぬくぬくした状態にひたりこんでいる野党が、どうして本気で安倍政権の暴走と対決し、本当の国民的な改革に力を出せるのか。国民にとって百害あって一利なし、この制度を国民みんなの力できっぱりとやめさせようではありませんか。

■共産党躍進で安倍政権の暴走の阻止を

 日本共産党は、財政はもとより、あらゆる面で、自分の足でしっかりと立って、国民の利益のために活動してきた党であります。
 戦前は、侵略戦争と専制政治反対、平和と民主主義のために命がけでたたかいました。その犠牲になった方たちのお墓も京都にはたくさんあります。戦後も、自民党の悪政といっかんしてたたかい、政治は国民が主人公という国民主権の旗、国際政治では、いかなる覇権主義も許さないという自主独立の旗、これをいっかんして掲げ守りぬいてきた党であります。「日本共産党」という名前には、この戦前戦後92年の歴史がしっかりと刻み込まれているのであります。
 安倍政治は、その対極、真反対のところにあります。国民との関係はどうか。消費税問題、景気対策、原発再稼働、集団的自衛権、沖縄の基地建設強行、どれをとっても世論調査で、安倍さんがやっていること、やろうとしていることで、国民の賛成が多数だというものはないではありませんか。
 しかも、その国民の声に耳を傾けるという姿勢は、ひとかけらもありません。答えは「丁寧に説明します」だけであります。しかし、どこで「丁寧に説明」しているのでしょう。彼の言うのは「この道しかない」、国民が何を考えようが、どういう主張をしようが、「この道しかない」というのは、まさに独裁政治の看板じゃありませんか。
 国民無視の強権をふるう、このような相手にたいして、断固として正面からたたかう力をもつのが、日本共産党であります。そのたたかい方でも、私たちは道理を尽くす党であります。悪政には断固対決するが、どんな問題でも、国民の立場で対案を提起してたたかう。今朝ニュースを見ましたら、自民党の谷垣さんが、「野党はどの党も対案を出せない。しかし日本共産党は別だ」「日本共産党だけは問題を解決する手立てを堂々と主張している。しかし日本共産党と一緒にやるわけにはいかないんだ」。なんともいえない演説をしたと聞きましたが、相手も認めざるをえないのが、日本共産党の態度であります。
 しかも、要求が一致すれば、まじめに国民的な立場で共同に力を尽くす。政治の舞台でも、党利党略でなく、まじめに自民党の悪政と本気で対決し、国民のための政治をまじめに願う勢力とは、誠実な共闘の実現に努力する。私は明日、沖縄に行きますが、現に沖縄では、共産党、社民党、生活の党、元自民党の基地反対派、この4つの勢力が、沖縄1区から4区までそれぞれ候補を出して、「オール沖縄」でこの候補を応援し、自民党の議席は沖縄から一つも出さない──この決意でがんばっています。この「オール沖縄」に立ち向かっている党が、自民党と維新だということを、私は特に京都のみなさんにお訴えしたいと思います。
 安倍政権の暴走を阻止するためにも、戦後69年引き継がれてきた京都の民主・革新の底力を思う存分に発揮して、この選挙をたたかいぬこうではありませんか。

■比例躍進とともに、国会議員団の大黒柱、こくた勝利で風穴を開けよう

 比例代表近畿ブロックの躍進に力を尽くすとともに、この京都1区での、こくた恵二さんの勝利を何としても勝ち取ってほしいと思います。そして共産党封じ込めをねらった小選挙区制の岩盤に、京都で再び風穴を開けようではありませんか。
 こくた恵二さんは、わが党国会議員団の大黒柱です。私は44年前に初めて国会に出たとき、国会議員団で大黒柱の役割をしていたのは、やはり京都から送っていただいた谷口善太郎さんでした。谷口さんに何でも相談して仕事をしたものでした。そういう大黒柱の役割を、こくたさんが立派に引き継いでがんばっている。みなさん、共産党が大きくなればなるほど、こくたさんの役割も大きくなるし、活動の舞台も広がるんです。
 選挙は、投票日まであと4日間です。全力をあげて、日本の夜明けは京都から──この伝統をみんなの力でよみがえらせようではありませんか。どうか、みなさんの最後の最後までのご支援をお願いして、私の訴えを終わりたいと思います。どうも寒いなか本当にありがとうございました。


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