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京都府委員長が若い世代に語る。 憲法と日本共産党

《自民党改憲案を読みましょう》

 改憲派が、憲法96条改定を改憲の突破口として持ち出したことが、9条改定の是非をこえて、多くの人々の批判を巻き起こし、改憲派は孤立を深めています。
  改憲派の弱点は、96条を単なる「手続き」と考えた浅知恵にありました。96条は、主権者である国民が権力を縛るという「立憲主義」の大原則を体現したもの。縛られるべき権力の側が、「縛られるのはイヤだから、やめてくれ」と言っているわけで、これは、基本的人権と民主主義を是とする「国民の常識」への挑戦に他なりません。


 改憲派の弱点は、これにとどまりません。それは、自民党の改憲案を読めばわかります。
結論から言うと、「縛られるのはイヤだからやめてくれ」にとどまらず、「国民を縛りたい」という意図があからさまに書かれています。
 「9条を変えて国防軍を持つ」ことには、多数の国民が反対していますし、今年の憲法記念日に前後して行われた世論調査では、若い女性にこの傾向が強いこと(30代女性の67%、20代女性は61%が「9条擁護」)は、実に喜ばしいことでした。
  同時に、世論調査では、9条とは別に、漠然とトータルに「憲法を変えるべき」「変える方がよい」という人が、「変えるべきでない」という人より多い。これに気をよくしてか、自民党は全面的な改憲案=「日本国憲法改正草案」を昨年4月に発表しました。私は、「憲法を変えるべき」と考える人に、ぜひこの改憲案を読んでほしいと思います。「『変えたい』と思う人に自民党の改憲案を奨めるなんて、共産党が言うべきことか?」とのお叱りもあるかも知れません。しかし、私は逆だと思います。「立憲主義」否定の改憲派に厳しい目を向ける「国民の常識」の目で、自民党改憲案を読んでもらいたい。

  「国民の常識」を基準に、自民党改憲案の「非常識」を、9条および96条以外の部分で、いくつか見てみましょう。
 第1章で、パッと見てまず気づくのは、「天皇は日本国の元首」という第1条、「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」と規定した第3条です。今の憲法には国旗・国歌の規定はなく、法律で定められているだけです。法律で決めたときも、政府はこれを「強制しない」と答弁しました。それでも、この間東京や大阪で、東西の日本維新の会共同代表がやってきたことは、「強制」そのものでした。2004年秋、園遊会に招待された将棋の故米永邦雄棋聖が、天皇にこう言いました。「(東京都の教育委員として)日本中の学校で、国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが、私の仕事でございます」。この発言を、天皇がやんわりと諫めました。天皇曰く、「やはり強制になるということではないことが望ましい」。
 天皇を元首にすることと、国旗や国歌を強制することが、改憲派にとっては一体です。一方、今の天皇は、「元首」ではなく「象徴」としての自らをしっかり自覚して発言しています。私は、天皇の発言が「国民の常識」に近いと思いますが、いかがでしょう?

 第24条には、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」という項目が新設されています。96条改定批判を論じている小林節慶応大学教授は、この規定について、「ほんと余計なお世話だね。憲法が国民の私生活や道徳に介入すべきじゃない」(毎日新聞4月16日付夕刊)と批判しました。家族を大切にし、助け合おうという考え自体は、「国民の常識」だと思います。しかし、それを憲法で国民に義務づけるとなると、話は違います。96条で国民に縛られるのを嫌う権力が、逆に国民を縛ろうとする意図が透けて見えます。「家族は助け合わなければならない。親の扶養義務があるのに、生活保護を受けるのはけしからん」と、社会保障を削ろうとする政治勢力と、憲法で国民に道徳を説く勢力の顔が重なります。 

 「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」。自民党改憲案では、現憲法のこの97条が完全に削除されています。
 このことと一体で、12条・13条をどう変えようとしているのかも、見てみましょう。
  「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」(現憲法12条)
  「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」(自民党改憲案12条)。
 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(現憲法13条)。
  「全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない」(自民党改憲案13条)
   ポイントは、現憲法の「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に書き換えたことです。
 自由や権利は、生まれながらにして、すべての国民に等しく保障されます。これが、現憲法の原理です。同時に、社会生活の場では、「私の自由、権利」と「あなたの自由、権利」が衝突することがあります。それを、国民が、すなわち自由と権利を持つ者同士が調整しましょうというのが、現憲法の「公共の福祉」という考え方です。
 これを「公益」「公の秩序」に書き換えれば、9条の改悪によって「国防軍」となる軍隊の方針や行動が「公益」「公の秩序」とされ、これを理由に国民の権利と自由が制限される事態が、容易に想像できませんか?

  「憲法は古い」「60年以上、一度も改正されたことがない」と、何とはなしに「それなら変えてもよいのでは?」と、雰囲気だけで考えるのではなく、「変えたい」と思っている人たちが、どう変えようとしているのか?その中身をしっかり勉強する意味で、自民党改憲案は、最高傑作の作文と言えます。お奨めです。
(2013年5月14日)
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