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京都府委員長が若い世代に語る。 憲法と日本共産党

《「受益」ではなく「権利」としての教育を》

 「朝日新聞」3月21日付に大きく報道された「教育格差6割が容認」とうい調査結果には、驚かされ、また考えさせられました。
 同紙などがおこなった共同調査によると、「所得の多い家庭の子どものほうが、よりよい教育を受けられる傾向をどう思うか?」の設問に対して、「当然だ」(6.3%)と「やむをえない」(52.8%)の合計59.1%が、「問題だ」39.1%を大きく上回りました。5年前の前回調査(「当然」3.9%「やむをえない」40%の合計43.9%を「問題だ」53.3%が上回っていた)から逆転したというのです。
 「すべて国民は......その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」。これが、日本国憲法第26条の規定です。戦前の日本では、国民は天皇の臣民(家来)であり、教育は「良い臣民」をつくるためのものでした。悲惨な侵略戦争と人権抑圧をもたらした戦前の教育観を180度転換し、教育の権利の主体は子どもであって、親や学校、教師、そしてまた国や地方自治体は、子どもの発達の権利を保障する義務があると定めたのが、今の憲法の教育観です。この教育観に立てば、経済格差が教育格差に直結することはあってはなりません。しかし、日本の現実はどうでしょうか?
 日本の学費の高さは世界一です。1970年の国立大学の初年度納付金は、1万6千円でした。今は817800円。私大では、1970年平均約23万円だったのが、今は(医・薬を除く)平均約130万円。この40年余で国立は50倍強、私大は6倍近くに急増です。同じ期間の消費者物価の上昇が3倍強、大卒初任給は2倍強ですから、学費の高騰ぶりは異常です。一方、ヨーロッパの国々は、ほとんど無料か、徴収しても低額です。しかも、返済不要の給付制奨学金制度があります。「子育て世界一」といわれるデンマークは、幼稚園から大学院まですべて無料で、しかも大学生には全員、家計の状況に応じて月々5万数千円から8万数千円の給付制奨学金が支出されるそうです。学費が安かった頃は、日本にも給付制奨学金制度がありましたが、今は、返済必要な制度、要するにローンです。日本は文字通り、「学費世界一」「奨学金世界最悪」の国になってしまったのです。
 歴代自民党政府が学費値上げを正当化した理屈は、「受益者負担主義」です。教育は子どもや保護者にとって「受益」なのだから、それに応じた支払いをせよというわけです。商品なら、質の高いものに高いお金を払うのは理解できます。「受益者負担主義」の考え方というのは、子どもを「発達の権利の主体」ではなく、商品と同じように扱うものです。「受益者負担主主義」の横行は、教育にとどまりません。小泉内閣のときに、自民党・公明党によって「障害者自立支援法」が強行されました。障害を持つ人が福祉サービスを受けるのは「受益」であるから、その費用の一部を負担せよというものでした。民主党は、この法律の撤廃を公約に掲げて政権につきましたが、約束を裏切りました。
 結局、「受益者負担主義」の考えは、教育であれ福祉であれ、これを「権利」としてとらえることへの攻撃にほかなりません。憲法25条の「生存権」は、まさに社会保障、福祉を国民の権利ととらえ、国にその充実を義務づける根拠となってきました。憲法を変えたいと思っている政党・政治家と、「受益者負担主義」に立って教育も福祉も国民負担を増やしてきた政党・政治家が重なるのは、偶然ではありません。
  政党・政治家を、そのように仕向けてきたのは、財界です。「世界一の学費」を解決し、ヨーロッパ並みにするには、教育予算の増額が不可欠です。しかし、世界第3の経済大国である日本の教育予算は、OECD加盟34カ国平均の半分しかありません。「経済財政諮問会議」など政府の審議会に委員を送り込み、「教育にもコスト意識を」「教育予算を削れ」と圧力をかけてきたのが、財界です。
 もうひとつ、教育予算を増やすために打ち破らなければならないのは、「アメリカいいなり」という日本の政治の異常です。みなさんは、在日米軍基地の子どもたちは、1年生から3年生まで18人学級、4年生以上は25人学級で勉強していることをご存じですか?日本は、やっと1年生から35人になり、今後それを順次引きあげていく計画でしたが、安倍政権がこれさえやめてしまいました。条約上の義務がないのに、日本政府が在日米軍に拠出している「思いやり予算」(この間平均約1900億円)。「こんなお金があるなら、日本の子どものための教育予算増額に」と思うのは、当たり前の要求ではないでしょうか?

 経済格差が教育格差に直結する事態は、昔からあったのではなく、「アメリカいいなり」「財界中心」の自民党型政治が、世界の流れとは逆行してつくりだしてきたものです。
 子を持つ親であれば、お金のあるなしでわが子が受ける教育に差があってもよいとは、普通は考えません。「6割が容認」という調査結果は、親の責任ではなく、日本社会に格差をもたらした自民党型政治、そして自民党型政治が振りまいた「受益者負担主義」の影響ではないでしょうか?社会全体のあまりの格差のひどさのなかで、教育を「受益」と思わざるを得ないところまで、国民が追いつめられている表れではないでしょうか?
 「保育所をつくれ」「35人学級を」「大学の学費を無料に」「給付制奨学金制度を」のたたかいを広げてこそ、多くの親が、教育は「受益」ではなく「権利」なんだと堂々と言えるようになるでしょう。そのことが、「権利としての教育」を高らかに謳った憲法を、改悪の策動から守る力になるでしょう。
  これまでも「アメリカいいなり」「財界中心」の古い自民党型政治と対決して「受益者負担主義」とたたかい、日本国憲法を完全実施する改革の展望をしっかりもっているのが日本共産党です。日本共産党と力を合わせて、「権利としての教育」を取り戻しましょう。
(2013年3月26日)
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