ブラックバイトに要注意!! - 日本共産党の取り組みと政策

特集

なんで学費は高いの!?

2014.10.30

学費や生活費をかせぐためのバイトが大変、学費を払ってくれている親に申し訳ない――。「学費が高い」「もっと安ければいいのに」とは思っていても、多くの人が「それが当たり前」「仕方ない」と思っています。まずは日本の学費の現状をみていきましょう。

日本の学費と世界の学費

日本の大学の学費(初年度納付金)は、国立で81.8万円、私立で131.2万円となっています。世界に目を転じるとどうでしょう。フィンランドやデンマークは0円、フランス・ドイツは2.4万円、イギリスは49.6万円です。アメリカは州立が68.8万円、私立は220.3万円となっています。こうしてみると、日本の学費が世界的にみても高いことがわかるでしょう。では、アメリカの学費についてもう少し詳しくみてみます。アメリカの私立大学の学費は日本よりも高くなっています。しかし、アメリカは州立大学に通う学生が72.5%であるのに対し、日本では国立大学に通う学生はわずか25.5%です。総じて、日本の学費は「世界一高い」と言われています。

日本の学費がこんなに高いのはなぜ?

ではなぜ、日本の学費は世界一高くなっているのでしょう?なぜ他国の学費は日本よりも低いのでしょう?それは、高等教育(大学、短期大学、大学院、高等専門学校)にかける予算が日本は他国に比べて少ないからです。高等教育予算のGDP(国内総生産)に占める割合は、OECD(経済開発協力機構)諸国平均が1.1%であるのに対し、日本は0.5%と、OECD諸国中最も低くなっています。

他の国はどうして日本よりも多くの予算を高等教育にかけているのでしょうか。世界の150ヵ国以上が批准する「国際人権規約」というものがあります。このうち、社会権規約13条2項(b)(c)に「無償教育の漸進的な導入」が規定されています。国際人権規約は1966年に国連で採択され、日本が批准したのは1979年ですが、この「無償教育の漸進的な導入」については「留保」しました。この条項を批准していなかったのは、150を超える国際人権規約の批准国のうち、マダガスカル・ルワンダ・日本のたった3ヵ国でした。マダガスカルも2008年に批准。ようやく、2012年に日本も留保を撤回して学費無償化への一歩をふみだしました。

(b)種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。

(c)高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

日本の学費高騰と「受益者負担論」

「教育を受けることによって利益を受けるのは学生なのだから、学費は学生が負担すべきだ」――。いわゆる「受益者負担論」が日本の学費値上げの口実となってきました。中央教育審議会の答申で初めて「受益者負担」が持ち出された翌1972年、国立大学の学費は1万6千円から3倍の4万8千円にはね上がりました。その後も学費は上がり続け、1971年から2005年までに消費者物価指数がおよそ3倍になっているのに対し、国立大学の学費はおよそ51倍にはねあがっています。

教育を受けることは「受益者負担」なのでしょうか?高等教育を受けることは自己実現のための権利です。教育基本法の第一条では教育の目的を「人格の完成」にあるとし、さらに「教育を受ける権利」は憲法で基本的人権として規定されています。にもかかわらず、進学をあきらめる高校生、経済的理由で大学を中退する学生、在学していても学費や生活費を稼ぐためのアルバイトに追われて思うようにまなべない学生がたくさんいます。そしてまた、学生が豊にまなんでこそ、社会は発展します。教育基本法の中にも、「大学は...高い教養と専門的能力を培うとともに...社会の発展に寄与するものとする」と規定されています。だからこそ、学生のまなびは社会全体で支えるべきです。教育を受けること、人びとがまなぶことは権利である。そしてなによりも、学生の人間的成長と社会の発展を社会全体で支えよう。こういう観点から、世界では「学費の無償化へ少しずつでも進めていこう」ととりくんでいるのです。先に述べたように、日本もようやくそのスタートに立ちました。批准した国際人権規約の条項を誠実に履行するよう、わたしたちはとりくみを続けなければなりません。

私立大学の学費は下げられる?

さて、私立大学はどうでしょう。「私立大学はその特性から言っても無償化にそぐわない」と言われます。たしかにその通りです。しかしすでに述べたように、日本では私立大学の学生数がおよそ75%を占めており、その学費が年間100万円を超えるような現状は人びとのまなぶ権利にとって重大です。「私立学校振興助成法」の中ではこう述べられています。「学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ...修学上の経済的負担の軽減を図る」「国は...経常的経費について、その二分の一以内を補助することができる。」さらに、この時採択された「附帯決議」では、「できるだけ速やかに二分の一とするよう努める」としています。しかし、これらが採択された1975年以来、1980年の約30%をピークに、いまでは約11%にとどまっています。「附帯決議」に則って速やかに二分の一の補助を達成することによって、私立大学の学費も大幅に下げることが可能です。

日本の奨学金制度は...

奨学金はどうでしょう。日本の現状は、給付制奨学金がなくすべて貸与制となっています。しかも、そのうち約7割が利子つきです。世界一の高学費に加えて、奨学金制度も世界的に異常です。さらには、1日でも返済が遅れると延滞金利息がつき、3ヶ月間滞納するとローンが組めない・クレジットカードが作れない、いわゆる「ブラックリスト化」が行われます。「こいつは借りたものを返さないやつだ」――そういうレッテルが貼られるのです。借りたものを返す、それはたしかにあたりまえのことでしょう。しかしまず、「返さない」のか「返せない」のか、この点をよく見極めなければなりません。若者の3人に1人が賃金の低い非正規雇用で働いているなかで、月に1万円、多い場合には3万円もの奨学金を「返せない」のが現状です。そしてそもそも、奨学金は「意欲と能力のある学生等が経済的理由により修学を断念することなく、安心して学べる」(文科省HPより)ためのものです。学生のまなびたい思いを社会全体で支える、そういう理念のもと世界では給付制が主流になっているのです。それを、利子までつけて借金取りの論理で追い立てるというのは、学生に奨学金を借りることをためらわせる、本末転倒と言うほかない状況を生み出しています。

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