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活動と政策

2017.5.10 (土)

京都が京都でなくなる 「民泊」襲来(中)

「指導要綱」も体制も不十分

 京都市東山区の名刹・東福寺近くの東高松町。町内で、相次いで民泊が開業を予定したことから、町内会の「民泊」対策責任者となった山﨑正彦さんは、市の民泊対策についてこう訴えました。
 「市が指導要綱をつくり、『地域との調和』を掲げて、民泊の計画が事前に住民に知らされるようになったことは評価しますよ。でも、市の姿勢は法に合致しているなら許可する、です。これで、市民生活を守れますか」

常駐義務付け盛り込まれず

 市は、民泊への指導強化のため指導要綱を策定し、昨年12月1日から運用を開始しました。果たしてその実効性はどうか。
 要綱では、▽開業前に標識を設置し、近隣の町内会などへの計画の説明▽客による迷惑行為の防止の徹底―などを事業者に義務付けました。しかし、事前手続きや迷惑行為の対処など、事業者として”当然守るべきルール”を強化したに過ぎません。開業許可に当たり、近隣住民との合意や安全確保のために管理人の24時間常駐を義務付けるなど、規制のための思い切った対策は盛り込まれませんでした。
 一方、浅草寺や上野公園などの観光地を擁する東京都台東区では、区の旅館業法施行条例を改正し、昨年4月から運用しています。国が同年度から、旅館業法を緩和し、簡易宿所の許可要件についてフロント設置義務を一部免除したことに対して、同改正では▽玄関帳場の設置▽営業時間内は従業員を常駐―を義務付け、規制を強化しました。
 台東区でできたことが京都市でできないのか──。伏見区藤森学区自治連合会で民泊対策にあたる田村権一さんは「市の要綱では何の歯止めにならない」と言い切ります。
 山﨑さんの町内会では、民泊管理業者と繰り返し協議をするなかで、管理人に必要に応じて、施設を巡回させることや、年に1回以上町内会と事業者が協議することを義務付ける協定書を結ぶことができました。「住民まかせでいいのか」と山﨑さん。
 職員体制も問題です。市は昨年7月、「民泊通報・相談窓口」を開設。旅館業法に基づく、指導は各行政区の保健センターの環境衛生監視員(計90人)が対応します。しかし、同監視員の指導対象施設は旅館だけでなく、理美容所、クリーニング、興行場、公衆浴場や食品関係営業施設と広範囲です。

各区の指導を本庁1カ所に

 これで激増する民泊に対応できるのでしょうか。民泊仲介サイト・エアビーアンドビーに掲載されている市内の民泊数は無許可もふくめ約4650軒(2月6日)。市が昨年末までに許可した民泊は1257軒で、約3400軒が違法民泊と推測されます。ところが、市が昨年4月~12末までに把握できた指導対象施設は1004軒で、うち指導したのは448軒。現場の努力はあるものの対策は追いついていません。
 市は、新年度から▽11行政区の保健センターの衛生部門を本庁1カ所に集約▽市民の通報を受け、民泊かどうかの調査は民間業者に委託―し、体制をリストラする方針です。しかも、集約化する替わりに民泊対策専門チームを発足すると説明しますが、現時点で人数などの詳細は明らかになっていません。
 江戸時代から続く市内の老舗旅館の主人は嘆きます。「京都の町を守るために、全国で最も厳しい景観条例があるのに、なぜ民泊には京都らしいルールや体制ができないのか」

20170510 管理業者と協定を結んだ民泊の前に立つ山﨑さん(右端)ら=東山区
20170510b 空き家に張られた民泊の標識

(「京都民報」2017年3月26日付けより)

“町家は民泊「受け皿」”

門川市長 観光ビジネス優先姿勢

 門川市長は昨年8月31日、定例記者会見で民泊問題に言及し、「京町家や長屋は、毎日の生活や現代の生活には合いにくい面がある」が、「宿泊施設としては非常に日本の心が感じられる」と述べました。
 町家や長屋は、市民の「住む場」ではなく、民泊の「受け皿」というもので、住民のための民泊規制より、観光ビジネスを優先する門川市長の姿勢を示しています。
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